指輪の物語

指輪にまつわる神話や伝説は大昔より数多く伝えられてきました。
映画の「指輪物語」に代表されるように、指輪の持つ不思議なパワーを目の当たりにした人々が、そのパワーを語り伝えてきたようです。

神話や伝説に登場し描かれた指輪は、魔法の指輪であり、神秘的な力を持つことにより、権力や幸せ手に入れたりすることができるものです。指輪にはその形状や素材から、なにかしら不思議な力が存在すると信じられてきたようです。ここにあげた指輪にまつわる話以外にも、世界各地で数多くの物語があるようです。

ギュゲスの指輪

紀元前7世紀ごろ、カンダウレス王の臣下のギュゲスは、 地震で開いた穴の中で不思議な指輪を見つけました。 指輪を指につけると自分が透明になって 他の誰からも見えなくなってしまうということに気づいたのです。 ギュゲスはその指輪を着けて宮殿に忍びこみ、王妃の裸身を盗み見するのです。 その魅力に負けたギュゲスは、王さまを殺し 自分が王さまになって王国を乗っ取ってしまいました。

「ギュゲスの指輪」は、ギリシャの哲学者プラトンによって書かれた 『国家』という哲学書の一節です。 この話は、誰もとがめられないような力を手に入れてしまったら、 どんな人でも悪い行ないや誘惑には勝てないというたとえ話です。 指輪の魔力は、使う人によって幸運にも不幸にもなりえるということですね。

ニーベルングの指輪

ライン河に沈んでいる金で指輪を作ると、世界中の富と権力が手に入るという。 ラインの乙女達が守っていた水底の金を、小人族(ニーベルング族) アルベリヒが奪ってしまい、その金で指輪を作った。 天上の全神ヴォータンはその指輪を略奪するが、指輪を持つものは災いにあう ということを聞き、それを巨人族の兄弟に与える。 その兄弟は指輪の所有をめぐって争い、兄ファフナーは弟を殺してしまう。

黄金の指輪は権力と愛のシンボルであり、欲望を満たそうとするものは 争いごとを引き起こすということである。 ワーグナーの大作オペラ「ニーベルングの指輪」。 当初は北欧神話の英雄であるシグルズの物語をモチーフとした『ジークフリートの死』 を素材としていた。


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ボッカッチョの指輪物語

ある金持ちが幸福を実現するという神秘の力を備えた指輪を持っていました。 それを受け継ぐものがすべての財産を引き継ぐという先祖代々の家訓がありました。 三人の息子がいましたが、どの子にそれを譲るべきか決心がつかず、 見かけの同じ指輪を二つ作り、分け与えました。

その金持ちの死後、 指輪の真偽について三人の兄弟の間に争いが生じました。 そして裁判に持ち込まれましたが、裁判官は、息子たちの間に 後々いさかいが起きることを心配した父親が既に本物を捨ててしまったと判断しました。 裁判官はもしそうでない場合、各自が自分の指輪に神秘の力があることを 各自の行いで証明すればよい、と付け加えました。
14世紀に書かれた ボッカッチォの「デカメロン」、 の第1日の第3話の「三つの指輪の物語」


デカメロン

ソロモンの指輪

旧約聖書の中で、ヤハウェの命を受けた大天使ミカエルよりソロモン王に授けられた指輪である。 ソロモンの指輪は真鍮と鉄でできており、様々な天使や悪魔を使役し、あらゆる動植物の声までをも聞く力を与えると伝えられている。

エルサレムで建設中の神殿が思うように進まず、困り果てたソロモン王はモリヤ山の高く突き出た岩に登り、神であるヤハウェに祈った。すると突然、まばゆい光と共にエメラルドの翼を持つ大天使ミカエルが現れ、黄金に輝く指輪を差し出して言った。「 受け取るがよい、王にしてダビデの子なるソロモンよ。主なる神、いと高きゼバオトが汝にくだされた賜物を。これによって、汝は地上の悪霊を男女とともにことごとく封じるであろう。またこれの助けによって、汝はエルサレムを建てあげるであろう。だが、汝はこの神の印章を常に身に帯びねばならぬぞ」

その後、ソロモン王は指輪の力により、多数の天使や悪魔を使役し神殿を建築した。 良き魔神(天使)を使役する場合は真鍮の部位を、悪き魔神(悪魔)を使役する場合は鉄の部位を投げ当て、呪文を唱えるといかなる魔神も強制的に従わせた。 → ソロモンの指輪

ソロモンの指輪 (1) フェニックス編 (バーティミアス)

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